涙目の治療

当院で行う涙目の治療は、主に涙管チューブ挿入術という日帰り手術が中心となります。

詰まっている涙道を拡げ、涙の排水路を確保することで、涙が抜けていく流れを改善します。

当院ではすべての医師が涙道内視鏡に精通しており、非常に得意としている治療の一つです。

涙目について
About Watery Eye

涙道関連の目の図

眼の表面にたまった涙は、まばたきによりまぶたの内側の小さな孔(涙点といいます)に吸い込まれます。

涙点に入った涙は涙小管、涙のう、鼻涙管(これらを総称して涙道といいます)という場所を通って、最終的には鼻の奥に抜けていきます。

涙道が何らかの原因で狭くなったり詰まったりしてしまうと、いつも泣いているかのように眼に涙があふれてしまいます。

これが涙道閉塞症であり、詰まっている場所により涙点閉鎖、涙小管閉塞(総涙小管閉塞を含む)、鼻涙管閉塞があります。

また、閉塞まではしていないものの涙道が非常に狭くなった状態のことを涙道狭窄症といい、これも涙点狭窄、涙小管狭窄(総涙小管狭窄を含む)、鼻涙管狭窄があります。

涙道の詰まりの程度や再発の有無、涙のう炎(涙のうの中で細菌感染を起こす病気です)の有無によって、治療法はいくつか選択肢がありますが、日本国内では一般的に涙管チューブ挿入術という、涙道にチューブを一定期間留置する手術が手軽にもかかわらず比較的成功率が高く、最も多く施行されています。

道北・道東では数少ないこの分野の専門施設

痛みはほとんどなく20分程度の日帰り手術です

涙管チューブ挿入術は日帰りで行うことが可能です。 部分麻酔を十分に効かせてから手術を行いますので、手術中痛みを感じることはほとんどありません。 また涙点からチューブを挿入していくため、傷が残ることはありません。 手術は約20分程度で終了し、そのまま帰宅できます。 術後にチューブによる眼の異物感は少なく、チューブは通常2~3か月程度入れたままにした後、容易に取り除くことができます。

機器の画像

道内で2台目の導入となる最新機種

涙道内視鏡はフルハイビジョン対応の画質であり、以前のものと比べて格段に画質が良くなりました。道内では2台目の導入となる最新機種です。

より精度の高い治療が可能

涙道の詰まっている場所を直接詳細に観察できますので、以前よりも格段に成功率が高まり、安全で正確な涙管チューブ挿入術を行うことが可能となりました。

機器の画像

当院では鼻内視鏡装置を用いて鼻腔中の様子も観察できます

当院では鼻内視鏡装置を使用しており、直接鼻の中を観察しながらより正確なチューブ挿入を行っています(特にシース誘導チューブ挿入と呼ばれる挿入手技を行う場合に用いられます)。

鼻内視鏡はチューブ挿入時に用いられるほか、術後もチューブの留置状況の確認などに有用です。

手術執刀医

院長 泉 直宏

院長 泉 直宏

副院長 石居 信人

副院長 石居 信人

涙目の検査
inspection

細隙灯顕微鏡検査

眼の表面の涙のたまり具合いを直接確認できるほか、涙道以外の涙目となる病気(逆さまつげや結膜炎、角膜びらんなど)がないかどうかを鑑別します。

涙管通水検査

涙点から生理食塩水を流して、鼻まで通っているかを確認します。通っていない場合は、涙道の閉塞があると判断できます。

涙道内視鏡検査

涙点から入るよう設計された細い涙道内視鏡プローブを涙点から挿入し、涙道の中の閉塞部位を確認したり、涙のう炎の有無を確認します。

涙道内視鏡による涙管チューブ挿入術
Lacrimal Tube Insertion Surgery Using Endoscope

① 局部麻酔

手術は局所麻酔で行います。まぶたの皮膚に少量の麻酔を行います。まぶたの他に鼻の中にも麻酔を行います。

内視鏡画像

② 涙道内視鏡で涙道内を観察し、閉塞・狭窄している部分を拡張

涙道内視鏡を用いて涙道を見ながら詰まった部分を確認します。

閉塞部位に対しては涙道内視鏡の先端やシースと呼ばれる筒状の棒を用いて閉塞部位を拡げます。

シースを用いる方法はシース誘導内視鏡下穿破法(SEP)と呼ばれます。

チューブの画像

③ 涙管チューブを留置

涙道が広がったらそこに細く柔らかい涙管チューブを入れます。

入れ方にはいくつかの方法がありますが、当院ではシース誘導チューブ挿入(SGI)またはリドカインゼリー拡張チューブ挿入(LJEI)の方法で行っています。

チューブの全長は約10mm程度ですが、真ん中を目印にして、半分を上涙点から、もう半分を下涙点から挿入し、総涙小管という場所で合流、そこから鼻腔までは2本のチューブとなって鼻腔に達する形で挿入します。

治療の流れ
Target Age Of Treatment

診察のイメージイラスト

① 診察・適応の決定

診察にて涙道の閉塞・狭窄がないかどうかを診断し、涙管チューブ挿入術の適応があるかどうかを判断します。手術の適応があり、ご本人が手術を希望された場合、手術日の予約を取ります。

手術内容のイメージイラスト

(院内滞在時間は1時間弱です)

② 手術当日

当日は予約となりますので、予約の時間に来院していただきます。来院してまもなく手術室にご案内いたします。通常の方であれば手術時間は20分程度です。終わったら少しの間休憩してから帰宅が可能です。

診察のイメージイラスト

③ 術後診察

術後は定期的に涙道の洗浄を行って経過観察していきます。特に問題ない場合は約2~3ヶ月してからチューブを取り除きます。

手術の費用
Cost of Surgery

1割負担の方 片眼 約7,000円
2割負担の方 片眼 約15,000円
3割負担の方 片眼 約22,000円

涙道手術のご質問
Questions

涙道に入れるチューブは安全ですか?

チューブは生体に影響を及ぼさない素材でできています。チューブが当たる涙点の部位に多少の異物感を生じることがありますが、日常生活で支障はありません。

手術で失明することはないですか?

この手術はまぶたの内側の涙点から鼻の中にかけて行うもので、眼球に影響が及ぶことはまずありません。

手術日に自分で運転してきてもいいですか?

当日は眼帯をしますので、帰りの運転はお控えください。お帰りはご家族のお車か、タクシーや公共交通機関をご利用ください。

手術後チューブは見た目でわかりますか?

チューブは上下涙点から鼻腔までの間を逆U字状に挿入されており、チューブが顔を出しているのは上の涙点と下の涙点の間だけです。チューブが入っていることを他人に気づかれることはありません。

チューブを入れたら涙目はすぐに治りますか?

チューブを入れた直後は涙道の腫れなどで、数日は逆に涙が多くなることが多いです。個人差はありますが1~2週間程度で涙道の状態が安定し、涙目の症状が改善していきます。

チューブを抜く時はまた手術になるのですか?

チューブの抜去は外来の診察室で行います。上下涙点から露出しているチューブの部分を引っ張るだけで引き抜くことが可能ですので、一瞬で終わることがほとんどです。

チューブを抜いた後また再発することはありますか?

治る確率の方が高いですが、再発は起こり得ます。詰まった部分やその程度によって再発率が異なることが報告されています。再発した場合は再度涙管チューブ挿入術を行うか、違う治療法を検討します。

執筆者の画像

著者名 泉 直宏

日本眼科学会専門医

ICL(眼内コンタクトレンズ)認定医

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