中心性漿液性脈絡網膜症

中心性漿液性脈絡網膜症とは

中心性漿液性脈絡網膜症(Central Serous Chorioretinopathy、CSC)は、視力障害を引き起こす網膜疾患の一種です。本症は、網膜中心部に漿液が溜まり、視力の低下や歪み、色の変化などを引き起こします。以下では、本症の原因、症状、治療について詳しく説明します。

中心性漿液性脈絡網膜症の原因

中心性漿液性脈絡網膜症の原因はまだ完全には解明されていませんが、ストレスや高度な心理的ストレス、ホルモンバランスの乱れ、高血圧、自己免疫疾患、または糖尿病などの病気が関連していることが知られています。また、喫煙や過剰なアルコール摂取、ステロイドの使用、運動不足などの生活習慣が原因に関与することも報告されています。

中心性漿液性脈絡網膜症の症状

中心性漿液性脈絡網膜症の主な症状は、中心視野にかすみや歪みがあることです。また、視力低下や色覚異常、白色または黄色の点が視界に現れることもあります。症状はしばしば急に現れ、一般的には自己免疫疾患や糖尿病による網膜障害とは異なり、病気の進行に応じて悪化することはありません。

中心性漿液性脈絡網膜症の治療

中心性漿液性脈絡網膜症の治療法には、特に症状が悪化した場合には、レーザー治療があります。ただし、一般的には、症状が軽度であれば治療を必要とせず、自然治癒が期待できるため、対症療法的な治療法として、生活習慣の改善があります。喫煙や過度なアルコール摂取、ストレス、過剰なカフェインの摂取を控え、十分な睡眠を取ることが推奨されます。また、運動不足の改善や健康的な食事、ストレス管理などが有効とされています。

症状の軽度であれば、数週間から数か月で自然に回復することが多いため、経過観察が必要となります。ただし、症状が重度であったり、長期化している場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。また、視力障害がある場合には、日常生活に支障が出ることもあるため、安全に移動するための支援や、眼鏡、コンタクトレンズなどの視力矯正具が必要となる場合もあります。

最後に

中心性漿液性脈絡網膜症は、原因不明の病気であり、完全な治療法が確立されていません。しかし、症状を軽減し、回復を促すための治療法や生活習慣の改善があるため、早期に病気に気付き、適切な処置を行うことが重要です。定期的な健康診断や、視力のチェックを行い、症状の早期発見に努めることが大切です。

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著者名 泉 直宏

日本眼科学会専門医

ICL(眼内コンタクトレンズ)認定医

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